島田は饒舌に話すことで、心に刺さったままの棘を1本ずつ確実に抜いていってるように見えた。


島田が話す間、俺は何も言えなくて。


時折俺に視線を移すけど、俺を通り越して多分2年前を見てる。


悲しみを含んだその横顔もやっぱり愛おしくて。



『でもねっ!ヤな事ばかりじゃなかった!

みんなから離れたくて逃げたくて、頑張って南校に入ったの。

そしたら山本がいた。

美穂とも友達になれた。

私、凄く友達に恵まれてる。

2人がいてくれて、私毎日が楽しい。

南校に入って良かった。こんなに笑える日が来るなんて、2年前は想像してなかった・・・・

あ、ゴメンっ、私1人で喋りすぎだね・・・(笑)』



『・・・・・』



黙って見つめる俺を察知して、島田が俺の方を見る。



『・・・・・?』



『・・・・・俺は?』



『・・・・・・』



『・・・・・俺の事は「南校に入って良かった」中に入ってる?』



羅列された名前に俺の名前が無いことが寂しかった。



『・・・・・・』



島田は黙って俯いてしまった。


こんな日に俺、何言ってんだ・・・


俺がコイツ困らせてどうすんの・・・



言ったことはもう撤回出来ないけど、話を逸らす事は出来る。



『・・・帰ろ?もう遅いし』



『・・・・・う・・ん』



公園を出て島田の家の方向へ。


もう、本当に家はすぐそこ。



2人とも黙ったまま