倒れた自転車を2人で笑いながら起こして、また歩き出す。
コイツの家はもうすぐそこ。
『・・・少し、話聞いてくれる?』
視線を下げたまま呟く。
『じゃ、そこの公園寄ろうっ』
公園を指差して島田が言う。
ブランコと、滑り台があるだけの小さな公園。
もちろん遊ぶ子供の姿はなくて。
『貸し切りだねっ』
そう言って・・・無理して笑うんだ。
2人並んでブランコに座る。
もう何年ぶり?
2人とも懐かしむようにゆっくり漕ぎ出す。
『・・・今日入江クンがいてくれて良かった。1人ならきっと逃げてた』
俺の方は全く見ずに、独り言のように話し出した。
俺がコイツから直接聞きたかったこと・・・
『私ね、中3の時、さっきの彼・・立花君に告白されて付き合ってた。
彼が私の初恋。
さっきは私に勝てるものがないなんて言ってたけど、何でもできるんだよ?
優しいし、友達だって沢山いた。
私に無いもの沢山持ってた。』
ひとつひとつをゆっくり思い出すように、懐かしむように言葉を綴る。
『でね?彼とデートの約束をしてた日に彼に用事ができてキャンセルになっちゃって。
1人で買い物に出かけたら、立花君と百合が仲良さそうに手繋いで歩いてた。
私その事直接二人に聞けなくて。
でも、山本がたまたま2人がデートしてるとこ見たらしくて。
ふふっ、山本、正義感強いでしょ?私の変わりに百合を責めたの。
そしたら百合は「立花君が顔だけの彩と別れたいって言ってる。彩とは友達ごっこ」そう言って、言い訳もしなかったんだ。
それから、もう、人と関わるのはやめようって思った。傷つきたくないって。ふふっ、私って弱虫・・・』

