顔を赤くした彼はそのまま前を向いて自転車を押す。
『・・・乗らないの?』
『あぁ、乗るとお前んちすぐ着いちまうから今日は歩きで』
『・・・う・・ん』
『・・ちょっと寒いけど』
『・・・・うん』
黙って並んで歩く。最近は私たちが2人でいても誰も何も言わなくなった。
彼がギャラリーを一喝したから
『おめーらうるせー』
って。ふふっ、笑える
『・・・・・あ、そうだっ、今日の昼休み「美穂に賛成」ってあれ何?美穂に聞いたけど「本人に聞いてみて」って。考えたけどわからなくて・・・』
視線を上げて彼を見ると・・・・
顔・・・・まだ真っ赤・・・左手で隠してる。
耳まで赤い・・・・?
『な、何でそんなこと急に・・・』
『思い出したから聞いてみたんだけど?』
彼は顔を隠していた手で髪をクシャクシャって乱して
そして
『・・・・教室以外で笑うな・・・っていう・・やつ』
『・・・・・・え・・?』
『あ~俺、カッコ悪・・・余裕無さ過ぎ・・』
言いながら私の頭をポンポンって優しく撫でる。
ここ数週間で普通に話が出来るようになった。
彼の左側はとても居心地がいい・・・。