部活を終えた島田が駐輪場に向かうのを俺は北野と部室前で話しながら見ていた。


『わりぃ、先帰って』


そう北野に言い残して俺は島田を追う。



『よう、一緒に帰らねー?』



背後から声をかける。

俺、ナンパしてるみたい(笑)


軽く振り返って、セミロングの黒髪を揺らして。


俺の顔が見えたか?ぐらいの角度で



『私、自転車通学』



そう言い放つ。コイツ以外と面白い(笑)



『知ってるし(笑)・・送る』



こうでもしないとコイツは部活が終わるとすぐに帰ってしまう。


仮にもサッカー部のキャプテンだから、最後まで部員見届けて帰るべきなんだろーけど。


テニス部が終わるのを待ってたわけじゃないけど、今日は、いや今日も?サッカーしててもソワソワして。


っていうか最近部活に身が入ってねーんだけど(笑)



『別に送ってくれなくていい』



想像通りの返事(笑)



『俺が送りてーの』


強引に食い下がる。



『勝手にすれば』



『おぅ、勝手にする』



『私、自転車押さないよ?』



『え?それはねーんじゃね?』



『じゃ、無理。お先』



チリンチリンー





軽快にベルを鳴らして帰って行った・・・・


俺は呆然と背中を見送る。


どうすればアイツと話せるんだ?



でも、最後




「お先」と言って振り返ったアイツは笑ってたんだ・・・