そしたらアユの長い腕が伸びてきて、抱きしめられた。



「ホントかよ」


「うん」


「約束、破んなよ」



そう言ってぎゅっと締め付けられた腕の中は、とてもあったかい。


幸せだなって思った。


あたしもアユの背中に手をまわす。



するとアユは急に思い出したように、



「…あ、ちなみに、義理チョコとかもうやんなくていいからな」


「え?」


「さっきのやつとか」



わっ、覚えてたんだ。



「あぁ、あれは…部活の慣習的なやつで…」


「お前はやんなくていいよ」