誰かに名前を呼ばれて。
振り返ると手芸部の数少ない後輩男子、橋本君(通称ハッシー)が笑顔でこちらへ走ってくるのが見えた。
「あーハッシー!どうしたの?」
あたしが声をかけるとハッシーは小動物みたいな顔にえくぼを浮かべながら喋る。
「あのっ、チョコのお礼言おうと思って!
さっそく俺食っちゃったんすけど、どうもありがとうございました!」
「あぁ、あれね!
いえいえどいたしまして〜」
そうだ。手芸部みんなには義理チョコと友チョコ(市販品)を朝配ったんだった!
「クマのチョコ可愛かったっす!
美優先輩らしいっすよね」
「えー、そう?」
「なんかいつもマスコット編んでるイメージだから」
「あはは、まぁ半分趣味だからねー」
しかし、そんな感じで仲良く喋ってたら横から鋭い視線を感じて。
ドキッとして振り返ったらアユがすごい怖い顔してこっちを見てた。
あ…やば。
「なぁ、帰んねぇの?」



