ーー翌日。
「渡瀬先輩!!
チョコ受け取ってください!!」
「アユくん!!
これチョコ作ったの〜♡」
「アユくん!はい、バレンタインチョコ!」
あたしのそんな苦労など知るよしもなく、わが彼氏のアユは、朝から次々と女子たちの呼び出しをくらい大忙し。
去年に引き続きモテモテだった。
だけど毎回ちゃんと手ぶらで帰ってくる。
「ふふふ、相変わらずモテモテだねぇ〜、歩斗くん」
あたしがニヤニヤしながらからかうと、すかさずデコピンしてくる。
「…いたっ!」
「うるせぇ、ちょっとは妬け」
「あはは、ごめんごめん。
でも悪い気はしないよ〜。彼氏がモテるのも」
デコピンされた額をこすりながらそう言うと、ぶすっとふてぶてしい顔でこちらをじっと見るアユ。
「…つーか、肝心の本命がまだ来てねーんだけど」
…ギクッ。