「あ、ごめん。

なんか言った?」



すぐ真うしろを振り返る。


だけどあたしがあまりにもムードをガン無視してたせいか、アユはムスッとしたまんま。


ふいっと顔をそらしたかと思うと抱きしめていた腕を離した。



「…いや、もういい。

ゆっくり見とけよ」


「えっ?」



別に怒ってるわけじゃないんだけど…


明らかにそれは拗ねてる感じだった。



アユはたまにこういう時がある。


意外に構って欲しがりやで甘えん坊で。


あたしがアユと二人でいて、ついつい他のことに夢中になっちゃったりすると、ちょっと気に食わなそうにするんだ。


そういうとこ少し子供っぽくて可愛いんだけど…。