「高宮さんと同じ高校だった人に聞いたんだけど、その好きな人には振られているらしいのよ」


「へー、振られているのにまだ好きとは…そんなにかわいい子なの?」


「それは、分からないけど、あの高宮さんを好きにさせるのだから、かわいいんじゃないかなー」


一樹の話は噂話の1つとして、この時は終わらせた。関わることはないと思っていたから。


それから、1ヶ月後の前期試験が始まる前のことだった。私は、もらったばかりのプリントを中庭のベンチに座って見ていた。

書き込みたいことがあり、シャーペンを出そうとした時、風が吹いて…「あー、待ってー!すいませーん、拾ってください!」


風によって飛ばされてしまったプリントを慌てて、追いかける。プリントが舞って、落ちる先に一人の男の人がいたので、助けを求めた。

その人は、足元に来たプリントを素早く拾い上げてくれた。

良かった。なくしたら、教授に頭を下げてもらいに行けなければならないところだった。