「どう、調子は」



仕事終わりの夕方。

一昨日から入院している沙衣の病室を訪れた。


点滴で薬をいれているおかげが、顔色も良くベッドに座っていた。




「……暇」



入院ははじめてらしく、最初こそ大人しくしていたものの2日経つとこんな調子だ。



「本でも読んだら」



「活字は苦手なの」



とりあえず家にあった本を持ってきてやったけど、隅に積み重なっている。



「とりあえず大人しくしてないと」



「せめて歩き回れたらいいのに」




「大地が許可してないから、それはまだ無理です」



納得いかないのか、ふてくされている。



「タケルだってお医者さんじゃん」



「無理なものは無理」