「……奈央さん?」



そう声をかけられたのは肉コーナーで鶏肉を物色していたとき。

パッと顔を上げるとこちらを見ているひとりの女性がいた。



「やっぱり!奈央さんだ!」



「……三嶋?」



それは会社の後輩だった。



「……こんなとこで、どうしたの?」



「今から彼氏ん家でご飯作るんです」



嬉しそうにカゴを提げて笑う。
会社にいるときよりずっと楽しそうだ。



「元気そうでよかった」



「ちょっと奈央さん、こっちの台詞ですよー」