「ねえ」 「……」 病院からの帰り道。 運転席からタケルが呼んでくるのはきこえていたけど、じっと窓の外を見ていた。 「沙衣ってば」 「……なに」 「何か食べに行く?」 「いらない」 子供じゃないんだから、って自分でも思うけどどうしてもスッキリしない。 「ねえ」 今度はわたしがタケルを呼んだ。 「なんでそんなにいっぱい禁止されなきゃいけないの?」 「大地が言ってたでしょ」