せめて夜が明けるまで


ああ、朝日。
待っててね、すぐそっちにいくから。

私は足を止めず海に入って行き、
気づけばもう腰の位置にまで水がきていた。

そして不意に左手を見たとき、指輪がなかった。

「え、指輪が…朝日にもらった指輪がない」


どこかに落としたのだろうか。


この暗い海に落としたのなら、もう見つからないだろう。

「私の一番大事な指輪が…」

絶望した。

朝日…指輪なくしちゃったよ。
私、朝日に合わせる顔がないよ。