「変圧器は元々設置されていたものじゃねえ」
しかも、道路側だけに衝撃が向かうように造られていた。
いくら爆弾造りに詳しい人間でも、そうそう出来る芸当じゃない。
人を殺めることに芸術性を持ち込むやり方に泉は舌打ちして宙を睨みつけ、強い嫌悪を示した。
「あれ自体が爆弾だったということか」
メタノールを使用するため、それなりの大きさが必要だったのだろう。
それならば工事記録から何か辿れるかもしれない。
もちろん、そこからE・S・ボマーにたどり着くことは不可能だろう。
それでも、何も無いよりはマシだ。
因みに、E・S・ボマーは通り名だ。
本名はエルミーニ・サヴィニオ、四十五歳のイタリア人で軍にいた過去がある。