桜下に見、往々にして炎舞

 消防士たちは慌てて粉末の消化剤と車に積んでいた砂を持ち、炎に気をつけながら散布していく。

 軽く見回しても怪我人が十数人はいるようだ。

 その中で、炎を避けつつ怪我人を運んでいるベリルの姿に目が留まった。

 いつまた爆発が起こるか解らない状況の中で的確に動いている。

「は、よくもやる」

 感心して再度、よく見回した。

 見事に道路側だけが破壊されている。

 そしてふと、道路脇の変圧器に眉を寄せた。

「ここだな」

 しゃがみ込み、激しく破壊された変圧器を見つめる。

 かなりの手練れでなければ、こんな手の込んだ仕掛けを造ることは難しいだろう。

「気に入らねえ」

 脳裏に浮かぶ影に歯ぎしりした。