桜下に見、往々にして炎舞



 ──爆発のあったであろう現場に到着すると、想像していた通りの光景が広がっている。

 バイクから飛び降りた泉のすぐあとに、ベリルも半ば飛び降りるように止まる。

 すでに駆けつけていた消防車が消化剤の準備をしていた。

「そいつじゃだめだ!」

 泉は、消化剤を散布しようとした消防士を制止する。

「どうして!?」

「よく見ろ。燃えているのはガソリンだけじゃない」

 その言葉に消防士たちは目を凝らす。

 よく見ると、あちらこちらに薄青い炎が上がっていた。

「メタノールだ」

「なんだって!?」

 消防士は手にある消化剤を見直した。

 持っていたのは泡消化器だ、耐アルコール性の泡消火薬剤でなければメタノールに泡が吸収されてしまう。