俺にそんなこと言ったって仕方ないだろうとドルフは肩をすくめる。

「未遂に終わったみたいだけどすげえ怖かったらしいぜ」

「だったら陰険な仕返しみたいなことはやめろと言っておけ。でないと契約を切るぞ」

「それは困るよ。あんたはひいきの客だ。だからこうやってばれないように直接、情報を流してるんじゃないか」

 泉はそれに怪訝な表情を浮かべ、若干背の低いドルフを見やる。

「ギャラはどうすんだよ」

「──あっ!?」

「馬鹿か」

 泉は呆れて頭を抱えた。

 会社を通さず契約者に情報を流すことは、他の契約者からの社の信用というだけでなく扱うものが「情報」という事で安全性にも問題が生じる。

 ましてや、彼ら傭兵が求める情報は一般人が得たいようなものではない。

 それ故に情報提供は厳格に行われなくてはならない。