桜下に見、往々にして炎舞

 見れば見るほど食指をそそる。

 我慢出来ずにキスだけでもと両手を広げた途端、

「ぐぎゃっ!?」

 脳天まで突き抜ける痛みに、膝から崩れるように地面に突っ伏し体を震わせた。

「て、てめっ──よくも。この痛みは、てめえだって知ってるだろうがっ」

 ひっこんだ。

 腰、こし叩いて……。

「だからやった」

「鬼かてめえ」

 苦しみにうずくまっているというのに、淡々と応えられて涙がにじむ。

 こいつは思っていたより手強そうだ。

「呼び出したのには他に理由があるのだろう」

 静かに問いかけられた泉は、ゆっくりと立ち上がりベリルに向き直った。

 口を開きかけたそのとき──遠くから響いた爆音に言葉を呑み込む。