「まったく、面倒なことをしやがる。データを送ってくれればそれで済むだろうに」

 呆れながらUSBメモリを差し込み、確認したデータのコピーを開始した。

 泉が会っているのは「情報屋」と呼ばれる、希望の情報を提供する会社の社員である。

 名をドルフという。恋人募集中の二十三歳の青年だ。

 情報を提供する会社はそれこそピンからキリまであり、ドルフの勤めている会社はかなり優良と言ってもいい。

 その分、料金もリーズナブルとは言い難い。

「おまえ、うちの上司に手を出そうとしたろう。あれでおまえへの情報提供を嫌がってるんだよ。俺の直属の上司だからな」

「あ? 昔の話だろうが。タマのちいせえやつだな」

 仕事にまでそんなものを持ち込むなと舌打ちをした。