翌日の昼近く──街は相応しい喧騒をまとい、新たな一日が流れていた。
昨日はあれからウイスキーを一本あけ、いい感じに酔っぱらいモーテルで寝ていた泉のスマートフォンが早く起きろとばかりにナイトテーブルで震え続けている。
精神的な疲れからか、着信の振動で木製のナイトテーブルが嫌な音を響かせていても伸ばした手が目当てのものをなかなか掴んでくれない。
「んあ~」
寝ぼけながらもようやく手にして、相手が誰だか解った途端にくそ面倒な予感を覚えて寝起きからげんなりした。
「なんだよ」
今日一日はゆっくり寝て過ごすつもりでいたのにと、ご機嫌斜めを目一杯声に乗せる。
<いいから来てくれ!>
「解ったから怒鳴るな」
泉の主張も虚しく一蹴されてしまい、未だ覚め切らない頭を振ってやむなく出掛ける準備を始める。
とは言っても、そのまま寝たので身なりを整える程度で部屋をあとにした。
途中でタクシーを拾い、あくびをしながら行き先を指定する。
捜査協力をすると言った記憶もないのに、なんだってこき使われなきゃならないのか。