桜下に見、往々にして炎舞

「なんだてめえ!?」

 あまりろれつが回らないながらも、息巻いて転がした相手を見上げたその瞬間、男は見下ろす視線に小さな叫びを引き気味に上げた。

「あ?」

「いや、あの」

 猛烈に不機嫌な顔で睨みつけられている。

 やりすぎたかなと目を泳がせると、泉は無言で元の席に戻っていった。

「まったくもう」

 唖然とする男を店員の一人が腕を掴んで立たせてやる。

「わきまえなさいよ」

 若干パンクっぽい身なりの男性は、酔いが覚めたスキンヘッドの男をたしなめて座るようにと促す。

「あれで済んでホントよかったわ」

 それから男は、この店の店員が元は何をしていたのかを知って身震いし、どうりで目にする店員のガタイが良いわけだと納得する。