桜下に見、往々にして炎舞

 どうやら他の店で飲んできている様子、ここでよくもあれだけ暴れられると客に同情すら覚える。

 しかしふと、コニーが期待の眼差しで泉を見つめていた。

「おい、なんで俺が」

「いいじゃない。キョウちゃんの格好いいとこ見たいんだもの」

「客がやるより店員(おまえら)の方が効果的だろ」

「強い用心棒がいると思われた方がいいのよ」

「誰が用心棒だ」

 いいから早く行けとばかりにあごで示される。

 ゆっくりしに来たはずなのに、どうして面倒ごとを押しつけるんだと溜め息混じりに立ち上がる。

 スキンヘッドの男に近づき、おぼつかない足元を蹴飛ばした。

 男は当然、バランスなど取れるはずもなく威勢良くすっころぶ。