桜下に見、往々にして炎舞

「どうしたの? なんか難しい顔しちゃって」

 注がれたテキーラを飲み干し、苦い表情を浮かべる泉に青い目を向ける。

 肩までの緩くカールされた栗色の髪を指でいじり色っぽく接するが、泉にはまったく効果はないようだ。

 むしろ、煩わしく感じていることが彼の表情から窺える。

「ちょっとな」

「あん、冷たいわね。なんでも相談しちゃってよ」

 女装する男にはまるで興味のない泉に嫌がらせをするように体を密着させる。

 いい加減にしろとコニーを軽く睨みつけたそのとき、泉は背後から聞こえてきた口論に眉を寄せた。

 目をやると、すでに出来上がっている男が店員に文句を言っている。