桜下に見、往々にして炎舞

 こだわりを持てば持つほど、芸術性や自分だけのサインを組み込もうとする者もいる。

 そして泉は、この作りかけの爆弾から嫌な印象を受けていた。

 はっきりと言葉に出来るものじゃない。

 だが、確かに知っている。

 そんな、曖昧(あいまい)だが確実な嫌悪感は泉を苛つかせる。

「まったく。ちゃっかり巻き込まれちまった」

 放っておけばいいのにと、つくづくな自分に呆れる。

 仕事でもないのに変な気苦労を背負(しょ)い込むのは勘弁したいもんだ。

「助かったよ」

 肩を叩かれて溜め息混じりに舌打ちした。

 ブランドンにとっては手間が省けたことだろう。

 タダ働きをしただけの泉は、こいつとはもう関わりたくないと思いつつも押収されていく箱に片目を眇めた。