桜下に見、往々にして炎舞

 三十代半ばだろうか、あまり手入れをしていなさそうなブロンドの、やけに目をギラつかせた男は周囲を見回して隠れるように現場から遠ざかっていく。

 どうにもきな臭い。

 しきりに辺りを窺っている男は狭い路地裏に入ると、寂(さび)れたアパートに入っていった。

 じめじめとした裏口の扉は普段、利用する人間はあまりいない事がその汚れ方で解る。

 男は、さして綺麗とは言えない階段を登り、三階の奥にある部屋の前で立ち止まった。

 ゆっくりとドアノブを握り、入り際にも通路に誰もいないことを確認して体を滑り込ませる。

 あとをつけていた泉はドア越しに気配を確認し、慎重にノブを回した。

 鍵はかかっていないようだが、チェーンはちゃっかりかかっていた。

 面倒だなとボディバッグを前に持ってきて中を探る。