「しかし彼も危ないことをしましたね。蹴った拍子にボタン押してたらどうするんです」

「俺もそう言ったら、あいつなんて言ったと思う。“被害に遭うのは俺とお前だけだ”だってよ」

「そりゃまた思い切ったことを」

「俺だって身を挺してあいつをどうにかしないととは思っていたが、ああもあっさり言われちゃな」

「それだけの覚悟があったということなんでしょうね」

 そんな話をしていると、黒いつなぎに黒いベスト、これまたヘルメットも黒で統一した男たちが数人ほど店内に入ってきた。

「お出ましだ」

 警官はつぶやいたブランドンを見やり、彼らにどう説明するのだろうかと様子を窺う。

「アーロンです」

「どうも」

 アーロンと名乗った男の後ろにいた二人も同じく挨拶を交わす。