「まったく。他人(ひと)に迷惑かけんじゃねえよ」

 淡々と結束バンドを取り出し両手の親指を縛って拘束する。

 そうしてメッセンジャーバッグから工具を出して解体を始めた。

 その鮮やかな手さばきにブランドンは何も言えず、作業が終わるまでじっと見つめていたのだ。

「どえらい遭遇ですね」

「今でも夢じゃないかと思うよ」

 ドラマか映画のような展開に、これはもしやドッキリなのではとカメラを探したほどである。

「確か、恋人にフラれたか何かでしたっけ」

「ああ。もう生きていけないと自暴自棄になって、爆弾こさえた馬鹿だ」

「そしていざ、爆弾抱えたらラリッちゃったんですね」

「死の恐怖に耐えられなかったんだろうな」

 直面した死に自分ではどうにも出来ず、道連れを増やそうなんて頭がイカれているとしか思えない。