桜下に見、往々にして炎舞

「あのやろう」

 捕まえた奴らを乗せて降りやがったな。

 どうすんだよ、担いで下山しろってか。

「覚えてろよ」

 とにもかくにも悠長にはしていられない。

 バックパックに弾薬を詰めた弾倉(マガジン)を詰め込んでライフルを両肩に抱え歩けるかを確認して溜め息を吐く。

 この痛みがなければもっと持てただろうにと腹部をさすり、苦い表情を浮かべて山を下りていく。

 下りの方が関節には負担がかかるが体力と気分は楽だ。

 そろそろ降りきるというところで泉の耳に車のエンジン音が聞こえた。

 咄嗟(とっさ)に道の脇に隠れると4WDトラックが数台、炭坑に向かって走っていった。

「おいおい、ありゃあ……」

 乗っているのは明らかに警官だ。

 なんてこった!

 もう押収にいきやがった。

 あれだけの武器があって手に入ったのは手持ちのこれだけだと?