桜下に見、往々にして炎舞

「生憎と私が用があるのは人間の方でね」

「あん?」

「違法バイヤーを追っていたらここにたどり着いた」

「ああ……」

 つまりは誰かからの依頼か何かか。

 まさか警察関係者ではないだろう。

 そうでなければこんな装備で出向いて来る意味がない。

「あんた、名前は? 俺はキョウイチロウ イズミ」

 相手は若干、いぶかしげな表情を浮かべて名乗ることを躊躇っている。

 しかし、泉はこちらが名乗ったのだから早くしろと無言の威圧を目に示した。

「……スロウン・レイモンド」

 嫌々ながらも名乗ると、泉は情報を得たことに喜び口角を吊り上げる。

 出来ればこのまま押し倒してやりたいが、この現状では返り討ちに遭うだけだと断念した。