「てめっ……。ひでぇ」

 こんな返しを冷静に行えるとは、こいつはかなりの場数を踏んでいる。

 これだけの容姿なら引く手あまたで対処にも慣れているのかもしれない。

 そこでふと、無臭性の湿布薬を貼ってくれている事に気がついた。

 応急処置はしてくれたのか、意外と親切だな。

「それで? あんたも横取りに来たのか?」

「横取り?」

 泉の言葉に怪訝な表情を浮かべ、そういうことかとすぐに察した。

 こうして目の前で見ていても、やり合っていなければコスプレか何かと思えてしまうが、容姿からは想像し難いほどしっくりと着こなしている。

 少し交えただけだが鋭く、大胆な闘い方をするのだろうとゾクゾクした。

 これほど興味をそそられる相手は初めてだ。