サンドカラーのカーゴパンツに青の前開き半袖シャツ、黒のメッセンジャーバッグとさして目立つ格好ではないが、整った面持ちに赤茶色の髪と同じ瞳からは勝ち気な態度が見て取れる。

 彼は、それに足る経験をしてきた。

 フリーの傭兵である泉は、とある用事でアメリカを訪れている。

 フリーの傭兵というのは多い方じゃない。

 大抵はどこかの会社に属していて、そこから仕事をあっせんされる。

 あくまでも社員であるためあまり仕事を選り好み出来ないがその分、手厚い補償が受けられるというわけだ。

 フリーは楽じゃない。

 仕事は自分で探さなければならないし、こと日本においては武器弾薬の調達もままならない場合がある。

 個人的とは言い難いほどの量が必要な場合があるからだ。

 それらを貯めておける場所の確保も難しい。

 それでも国籍を日本から移さず、主な住処を都心近くに構えている自分に多少なりともおかしさは感じている。

 もちろん、それに執着している訳でもない。