小柄だが体術はかなりのものだ、泉の放つ拳や蹴りを紙一重でかわしている。

 受け止めも堂に入っている、こいつは相当に熟練した兵士だ。

 攻撃しつつ相手の攻撃をかわしながら視界に入る服装を見やる。

 ブラウンの迷彩服にグレーのタクティカルベストはいずれもすっきりとしたもので、それが隠密向けのものだとすぐに察した。

 これは──違う。

「まて! 俺──はっ!?」

 声を上げた途端、腹に一発強烈な蹴りを食らって息が出来なくなり、視界が暗闇に包まれていく。

 こいつはやばい……。

 必死に遠のく意識を戻そうとするも、それは数秒を待たずしてぐらりと地面に倒れ込んだ。