まさか奴らがいるのかと警戒して気配を探る。

 しかし、ここまで見事に気配を消せるものかといぶかしげに息を潜めた。

「奴ら──じゃない?」

 この動きは闘い慣れた者でなければ成し得ないものだ。

 相手にそんな奴がいたのか?

 薄暗がりのなか、互いに一定の距離を保ちつつ無言の牽制が続く。

 こうしていてもらちがあかない、泉は意を決して攻撃に出る事にした。

 相手も同時に動いた気配がし、どうやら同じ事を考えていたなと口の端を吊り上げる。

 一気に距離を詰め、顔が確認出来る間合いに入る。

「なんだ!?」

 我ながら変な声を出したとその男の風貌に眉を寄せた。

 マスクで顔は確認出来ないものの、その体格で男だとすぐに解る。