桜下に見、往々にして炎舞

 そうして車の音を気にしながら歩みを進め、なんとか目当ての炭坑に到着した。

 車なら楽な道程も、徒歩ではややしんどい。

 車で上る事も考えたが、やはり気付かれるのは避けたい。

 使われていない炭坑なだけに、入り口にたどり着く道は奴らが使用しているこの道一本しかないのだ。

 炭坑に行けば奴らの車の一台くらいはあるだろう。

 それで武器を運んで帰りは楽をする。

 途中で出会えば軽く轢(ひ)いてやる。

 泉は生い茂る草木に隠れて双眼鏡を覗いた。

 この炭坑は何年も前に閉鎖され、十メートル先は崩れて奥には進めなくなっている。

 こんな所に武器を隠して面倒じゃないのかと思うだろうが、だからこその場所なのだ。

 車さえあれば問題はないし、洞穴(ほらあな)は何かを保管するのに適している。