目的地はさほどの標高ではないが、それなりの装備はバックパックに詰めてきている。

 そうして気を配りながらタイヤで踏み固められた道を登り始めた。

 当初の予定では道を避けるつもりでいたが、新しい足跡などといったものに気付く連中でもないだろうと道を歩くことにした。

 見つかったら見つかったでどうにかなる。

 自分のフィールドである山岳において、三下(さんした)相手に負けるほど落ちぶれちゃいない。

 目指すは山の中腹とはいえ、自然と息も上がる。

 泉は眼下に広がる風景を眺めがら、そういえばイエローストーンが噴火すると地球規模でやばいんだよな、などと疲れから逃避した。

 イエローストーン地区はアメリカ大陸最大の火山地帯だ。

 これまでも巨大な噴火を三度ほど、小規模な噴火はおよそ七万年前まで続いていたそうな。