「来てくれるとは思わなかった」

 応急処置の間や、帰りの飛行機で散々アプローチをして嫌がられた自覚はあったようだ。

 相手が怪我人であるためベリルもかなり我慢をしていた。

「ベリル」

 呼ばれて振り返る。

「あんたには色々と助けられた」

「それはこちらもだ」

「俺が一人で突っ込むこと、解ってたんだろ」

 それには答えず、再び歩き出す。

「悪かったな」

 あれは仇を討つために逸(はや)ったんじゃない。

「自身の腕を試したかったのだろう」

 発して立ち止まり、振り向いたベリルに目を見開いた。

「冷静でい続けるのは難しい」

 慕っていた者の死ならば尚更(なおさら)だ。しかし、