桜下に見、往々にして炎舞

「──ふざけやがって」

 俺を見逃すだと?

 あんなガキに俺が?

 たかが人が死んだくらいで頭に血が上る程度の奴に俺が負けただと?

 そんな訳があるものか。

 サヴィニオは奥歯を噛みしめると、転がっているベリルのハンドガンを素早く掴んで泉の背中にその引鉄(ひきがね)を絞(しぼ)る。

 しかし、引鉄は硬く銃弾が放たれることはなかった。

 どういうことだと弾倉(マガジン)を抜くと、そこに弾薬は一つも入っていない。

「おっと、忘れてた」

 泉は胸のポケットから小さなスイッチを取り出し、おもむろに押し込む。

 鈍く小さな爆発音がサヴィニオの周りで幾度か起こり、ビキビキと何かが割れる音が響いた。

 何が起こったんだと焦る男の足元は崩れ、遙か下にある森が目に入る。

「き、貴様ぁあああー!?」

 断末魔と共に落ちていくサヴィニオに泉が振り返ることはなかった──