桜下に見、往々にして炎舞

 ベリルは、目で「打つな」と言っている泉に何の反応も示さず注射器を拾う。

 サヴィニオと目を合わせたあと左腕をまくり、針のカバーを外した。

 男はいよいよだと口角を吊り上げる。

 今回の計画は邪魔をされたが、こいつを売り飛ばせば次の計画に充分な金が手に入る。

 不死の研究をしたい奴、戦闘データが欲しい奴、ただコレクションにしたい奴、とにかく一番高値をつけた奴に売りつけてやる。

「止めろって言ってんだろ」

「黙れ」

「あんたが眠った後にどうせ殺される」

「何度も言わせるな」

「ちょっとくらい延びたって意味ねえんだよ!」

「いい加減にしろ!」

 泉に気を取られた刹那──破裂音がして、はじき飛ばされたサヴィニオの銃は崖下に落ちていく。

 その衝撃で痺れた手を握り呆然とベリルを見つめた。