──爆音を耳にした泉は目を眇(すが)めて立ち上がる。

 あれにサヴィニオがひっかかったとは思っていない。

 こっちに逃げたのはまずったなと眼下に広がる森に溜息を漏らす。

 進むにつれて地面は先細りになり、幅が十メートルもない崖に突き当たった。

 突き当たりの崖から見てやや左寄りに木箱が縦並びに四つほど積まれている。

 泉はそれに身を隠そうと歩き出した瞬間──

「っ!?」

 銃声と共に左足に激しい痛みが走り、バランスを崩して倒れ込んだ。

 勝ち誇ったように近づいてくるサヴィニオを憎らしげに見上げる。

 サヴィニオは睨みつける泉を鼻先であしらい、銃口を向けたまま木箱を盾にするように移動する。

「てめえ」

 ここにきてもその慎重振りに腹が立つ。