──サヴィニオはニヤつき顔で少しずつ歩みを進める。

 獲物を追い詰める狩人のごとく、焦らずに影のあとを追う。

 ベリルと二人で闘う計画だったろうにと泉の行動を鼻で笑った。

 そうでなければ奴が許すはずがない。

「おやさしいことで」

 仲間が傷つくことを嫌がるなんていうのは致命的な欠点だ。

「おっ──と?」

 ぴたりと足を止めてかがみ込む。

 そこには、細いワイヤーが足首の高さに張られていた。

 ワイヤーを辿っていくと、隠すようにしてさほど大きくないプラスチックの四角く黒い容器のピンにワイヤーがくくりつけられていた。

「やるじゃないか」

 この短時間でよくも設置したと感心しながら、ポケットから糸を取り出す。

 それを慎重にワイヤーに結びつけ、糸を伸ばして距離を取った。