あっさりと隠れ家を破壊しやがった。

 俺たちがいては遂行は適わないと諦めて倒す計画に切り替えたのか。

 奴は今の計画をいつ断念した。

 いや、奴の考えていることなど今更どうでもいい。

 とにかく、前回の二の舞は勘弁だ。

 泉は木箱を背に腰を落とす。

 サヴィニオの姿は見えないが、あっちはこちらを見ているだろう。

「くそが」

 言って立ち上がり駆け出す。

 すっかり明るくなった空に舌打ちして警戒しながらサヴィニオの居場所を探った。

 左から聞こえた銃声に、素早く近くの木箱に隠れる。

 これで奴の大体の位置はわかった。

 それからどうする。

 ここは奴のホームだ。明らかにこちらが不利だが、なんとかするしかない。

 ウエストポーチから楕円形のゴツゴツとした手榴弾を取り出してピンを抜き、タイミングを測って投げつける。