「よう、久しぶりだなあ」

 聞き知ったむかつく声に顔をしかめる。

「背中の傷は治ったか?」

 てめえがやっておいてよくも言うと舌打ちし、反響する声にサヴィニオの場所が掴めないでいた。

 壁に吊された裸電球の明かりは薄暗く、広い坑道内をくまなく照らせるほどの数もない。

 気配を探りながらゆっくりと足を進めるも、サヴィニオがどこにいるのかまったく解らない。

 ベリルが到着するまで今の状態を維持するか?

 そんなことを考えていた泉だが──

「じゃあな」

 入り口の方から声がして振り向く。

 昇りかけている太陽は空を黄金色に染め始めていた。

 黒い影はニヤリと口角を上げると、手にしているものを押し込んだ。