桜下に見、往々にして炎舞

 そも、日常において武器など使わないに越したことはない。

 それをわざわざばらまく行為には、さしもの泉も苛つきを隠せない。

 遊びたいならモデルガンにでもしておけと言いたくもなる。

 武器として作られたからといって武器本来の行動までさせる必要はない。

 まあ手足の一本でも折ってやれば大人しくなるだろう。

 無駄な殺しでFBIに目を付けられたくはない。

「今回は使えねえな」

 やや惜しむようにつぶやき、ベッドの脇に置いてあるスポーツバッグを一瞥した。

 中には、着替えと幾つかの武器と、泉の名が広まることになったあるものが入っている。

 もちろん、見られてもそれだと解らないような細工はしてある。

 あんなものを町中で使う状況など、まずもってほぼ無い。

「まずは偵察か」

 そのままやれそうなら決行かなと口の端を吊り上げた。