当の目標であるサヴィニオは坑道内でせっせと爆弾を作っていることだろう。

 奴はこういうとき、変にこだわる。

 あたかも、爆弾慣れしていない人物が作ったように装う。

 脳内で一人の人間を作り出し、

「そいつが作ればこんな特徴が出るだろう」と考えながら作成する。

 もちろん、泉ほどの相手にはそんな小細工は通用しない。

 そもそも、この一触即発の状勢でそんな小細工すら必要はない。

 後々(のちのち)の事を考慮してのものかもしれないにしても、泉にとっては鼻につく行為だ。

<外した。そちらに向かう>

 その言葉通り、黒い影が慌てて走っていくのが見えた。

「了解した」

 とりあえず追いかける、残りはサヴィニオを抜いて三人だ。

 狙撃で五人を倒した腕は流石だと感心する。