最後にベリルが大型のケースから取り出したのは、一メートルほどのすっきりとした形のスナイパーライフルだ。

 夜間での狙撃のため暗視スコープと、なるべく気取られないようにと銃身の先には、本人の耳の事も考えて抑制器(サプレッサー)が取り付けられている。

 とはいえ、発射される弾丸が超音速で衝撃波の音を出すため、サプレッサーのみでは意味がない。

 音を抑えるために、弾速が音速を下回るよう調整されている亜音速(サブソニック)弾を使う。

 そもそも、当たらなければすぐにばれてしまうし、完全に音を消せる訳でもない。

 風を切る独特の音に気付かれればそこで終了、あとは個別に闘っていくしかない。

 どこまでこちらを有利に出来るかはベリルの腕にかかっていた。

「期待はするな」

「俺よりはいい腕だろ」

 二人は見合ってジープに乗り込んだ。