桜下に見、往々にして炎舞

「あんた。どこまで俺のことを知っている」

 その問いかけに、ベリルは手を止めて泉を見つめた。

 何も答えず、小さなLEDランタンを取り出し泉の手元を照らす。

 陽は傾きかけ、家の明かりも街灯もない場所ではすぐに真っ暗になる。

「今のお前ならば奴と対峙しても冷静でいられると考えている」

 やっぱり知っていたかと肩をすくめた。

 隠している事柄でもない、ちょっと調べれば解ることだ。

 知っていて、何も言わずにいたベリルに口の端を吊り上げる。

「面影がある」

 聞こえた言葉に目を丸くした。

「叔父を知ってるのか」

「何度か組んだことがある」

 可愛い甥がいると言っていたが、お前のことだったとはな。