滑走路の脇にある雑木林にジープを移動させ、泉とベリルは夜戦に向けて準備を進める。
泉は武器の確認をしているベリルを見やり、自分の手元を視界全体で捉えた。
──叔父が亡くなったと知らされたあと、荷物だけが恭一郎の元に届いた。
ダンボールを開けると、チョコレートや乾燥パスタが詰められていて俺を太らせたいのかと思いながら探っていたとき、底の方に薄い長方形のギフトボックスを見つけた。
イタリアのブランド名が記されている箱を開け、高級な革の匂いに口元を緩める。
ブラウンの長財布は厚すぎず重すぎず、まるで何年も使い込んだもののように恭一郎の手に馴染んだ。
「は……」
土産だけは無事に届いたらしい。乾いた笑いが突いて出る。