桜下に見、往々にして炎舞

「あん?」

 画面には<今から出る>とベリルからメールが着ていた。

 ということは、これから出てくる人間を見ていればいいのか。

 それならとホテルの入り口を見やる。

 しかし、スーツを着た男は体格が違いすぎる。

 赤いワンピースの女はそもそもだ。デブはさすがに安い変装では無理がある。

 逆も然りで、ひょろい青年に顔をしかめた。さらに、家族連れは論外だろう。

 どれもベリルだとは到底、考えられない。

 そんなとき、後部座席のドアを開いて一人の女が入ってきた。

「おい」

 泉はこれでもかと眉間にしわを刻み、勝手に入ってくるなと目で威嚇する。

 背中まであるくすんだブロンドに、長袖の白いシルクシャツを着こなしシンプルだが上品なパンツスタイルだ。