「心配するなよ。興味はもう無えよ。これ以上やらかすと上にクレーム入れるぞ」

 これからはビジネスだけで対応しろと答えて、騒ぎ続けている相手を意に介さず通話を切った。

「まったく。自意識過剰なんだよ」

 ちょっと好みだと思ってアプローチしただけじゃねえか。

 しかしすぐ勘違いだったと気付き泉の興味は失せていた。

 相手の意思など関係なく手を出すのははた迷惑もいい所なのだが、体格の良さと訓練を重ねた体術がそれを可能にしているのだから質が悪い。

 彼が鍛えているのは仕事だけでなく、それも理由の一つだったりする。

 大体において同性からのアプローチは受け入れがたいものだが、組み敷けるだけの力があればどうという事はない。

 被害者は多数なれど、泉は大きな戦力である。

 襲われた相手は運が悪かったのだとほぼ泣き寝入り確定だ。