小さな冷蔵庫に入っているビールの栓を抜き、乾いた喉に流し込む。

 このままアメリカから出れば、サヴィニオはまた隠れてしまうだろう。

 それを避けるためには、奴の監視を騙す必要がある。

 上手く抜け出さなければと考えてはいたが、その方法までは思いついてはいなかった。

 すでに作戦まで練っていたことに驚きながらサヴィニオに会えるときを心待ちにしていた。

 対面して逆上することはもう無いだろうが、冷静でいられる自信はない。

 そんな自分に情けなさを感じつつ、感情の起伏が緩やかなベリルがいてくれることは助かっていた。

 まだ短期間の付き合いでしかないが、パートナーとしては充分すぎるほど優秀だ。

 この状況では仲間を集めることが難しいだけに心強い。

「俺は、やれるのか」

 宙につぶやき、目を眇めて背中を気に掛けるように肩を掴んだ手に力を込める。